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空からの啓示

うん
空からその啓示は降ってきて
僕は手を頭上に掲げそれを手にした
今日はついている
そう考えることができる
うん
空からの啓示は不意に降りてきて
僕は歩みを止め
今日はついている
自分の運命と感じることができる
うん
空からの啓示を
降ってきた啓示を
ハンカチで拭って
家に帰ってシャワーを浴びた
ふん

通いなれた道

どちらに進もうと
そこには道がある
誰かが歩かなければ
道はできないから
何億何万何千人が
何億何万何千回も通った道
今自分がいる場所から
誰も通ったことのない道は無く
どう進んでも誰かの足跡を踏む
この道を果てまで行くしかない
その先に新しい足跡をつけて
道を作った誰かに報いるためには

遠くの猫

遠くの猫は毛繕いをして

午後の道路を我が物とする

近寄ってご機嫌を伺いたいが

それは許されないだろう

眺めて去れよ遠くの人

そのときをまつ

dsc02062誰もがいつかそのときを迎えると
知ったのはいつのころだっただろう
誰でもいつかは去るときが来ると
聞いたのはどこだっただろう
誰もがいつもそのときをまつ
そのときが近いと誰かが告げたとき
そのときが今日や明日のように
連なる日々の終着として見えてくる
あいまいであることが
これほどまでに
幸せであったとは

無意味な化石

人類の遺跡
遠い未来のある日
誰かがこの痕跡を見つけて
これはなんだろうと想像力をはたらかせる
当時の日本ではこのような不思議な生物がいたのですね

遠い未来の誰かより
今を生きる僕らの方が
きっとこの痕跡が何かを正確に想像できる

そんな風にあらゆるものは
時間を経るほどに
あいまいになるものなのだ

遠すぎる過去ほど

私の行く手を阻むもの

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何を意図して
この缶を置いたのか

行き過ぎる男を
笑うためなのか

過去の愚行が
早朝の道で蘇る

あの路地の塀の上に
置き去りにした缶

あの観光地で
閉じた店先に置いた缶

蹴り上げて
寺の境内に消えた缶

見知らぬ誰かの罪が
自分の罪を暴く

蹴り倒せば
どこからかオニが
出てくるのだろうか

2016-09-10-08-45-42

地平線に向かって歩くと
地平線へたどり着くことはできないが
歩き続けるうちに気がつくはずだ
今立っている場所がいつでも
地平線の上だと

今だと思った瞬間がすぐに
過去になるように

僕たちは今この瞬間だけにしか居られない
過去には戻れないし
今の次の今という未来にしか進めない

僕たちはこの狭い今の上で
昔の今を思い出しながら
次の今について考えている

億万の歯車の向こうで

2016-09-10-09-25-33-2

そこに歯車があっても
かみ合う別の歯車がなければ
右にも左にも回ることはない

別の歯車があっても
歯がかみ合わなければ
ぎしぎしと音をたてて
互いを傷つけるだろう

いくつ歯車があっても
伝え合う力が使われるのが
はたして意味あることなのか
億万の歯車の向こうで
何を動かしているのか
わからないまま右へ左へ

互いにすり減りながら
誰も知らない目的のために
不安な気持ちまま歯車は回る

気分転換

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歩くのが好きだ
隣町まで買い物に行くのにも
歩いて出かける

寒さに負けじと歩き続け
コートの下で汗ばむほど
一心不乱に歩く

公園の中は特に気分良く
木漏れ日の中で
眩しい光を浴びながら
枯れ葉をカサカサと踏みながら

血液が体中を回って
凝り固まった考えまで
流れていく