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朝の風景

台風から吹きつける風が
未だに半袖の腕に冷たい

暖かな部屋の中から出て
明日からは長袖と昨日も思ったのに
家から出るまで忘れてた

 

 

 

 

 

朝の風景

小雨が降る朝は足早に
傘でカバンをかばいながら
水たまりをよけて駅に急ぐ
見上げれば薄曇りの空に
うっすらと空色
暑くても晴れがいい
そんな勝手なことを考える
渇水の初秋

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朝の風景

太陽の登る場所や時間が変わっていくことを
時計も無い時代に気づいた先人の叡智は
今では空の向こう果てしない彼方まで及び
無限と有限の間の全てを知り尽くそうとしている
間にいる自分の叡智は自分という囲いのなかすら
知り尽くす当てもない

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朝の風景

地平線上の高層ビルの上に
雲がのしかかる大波のようだ
オレンジがかった光が
ハレーションをおこして
朝の街をおおいつくそうとしている
きっとビルの影には
逃げ遅れた夜が
日暮れまでひっそりと居座り続ける
そういう風にあの街は
作られたのだ

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朝の風景

朝日が雲を透かして
乳白色の光で地平線を形作る
やがて青く変わる空の縁
全天の東の円周
星々を塗り潰した後に
空を星々が塗り潰すまでの間隙

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朝の風景

湿った大気をかき分けて
水風船のような我が身は進む
中身がほとんど水な割には
水に浸かるのは苦手で
クラゲみたいに
内も外も一緒というわけにはいかない
皮一枚の儚い境目が微分する
わたしという固まり
今日はどこに行く

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