月別アーカイブ: 2011年3月

詩「恒星の熱を借り」

内燃し熱を放つ我が肉体の
数億の細胞ひとつひとつが
助け合って恒星の光を転じ
我が糧とする

借用した熱が冷めぬよう
絶やさぬようにマキをくべ
燃え尽きぬようにマキをくべ
いたずらに時を重ねる

長くて百年の火の番
長くて百年の借家住まい
やがて灰になる日には
すべてを熱に帰し気化する

恒星の熱のもつ形
恒星の熱のかけら
恒星の熱の通り道

恒星の熱がつくる
一瞬の夢を僕らは生きる

「朝」

鳥の呼び声
遠くに響く朝
まだ飛び立たぬ
鳥達の休息の時

暗がりではねる
枝の音にが
夜明けを知らせる

空に光明がさし
凪いだ風と静寂が
瞬きひとつで
姿を変えて

静は動に
暗は明にと
流転していく