月別アーカイブ: 2012年11月

朝の風景

夏、汗をかいて立っていた場所に
今、ダウンジャケットを着て立っている
吐く息は白く、暗い空には月
一日を積み重ねて
一年を積み重ねて
一生は積み重なる

朝の風景

真っ暗な空の薄っすらと見える雲
その濃淡がやがてはっきりとしてくる
色を失った街が
それぞれの色を取戻し一日がはじまる

朝の風景

昨日は漆黒に見えた早朝の空が
今日はうっすらと青をはらんで

太陽の訪れを待っている低い雲に溶け出した
陽光の先駆けが地平線の街をシルエットにして
今日の始まりを待つ

そんな自然のリズムに溶け込めない自分は
身勝手な時計で自分勝手なリズム
指揮者不在を言い訳にして

朝の風景

常夜灯の光に
朝の仕度を始めた部屋の灯りが加わるころ

いつも通りの急行列車が
いつも通りに通り過ぎる

流れていく光を目で追うこともなく
ただただ、手の中の光を見つめ続ける

明と暗の分布に意味を探して

朝の風景

アスファルトにできた轍の水たまりを跳ねて
朝の車が急ぐ
水面に揺れる赤い光が青に変わり水たまりを跳ねて
朝の通勤を急ぐ
道半ば、ズボンの裾はもう冷たい