月別アーカイブ: 2013年2月

朝の風景

考えごとをしながら来ると
どの道を歩いて来たかさえ
思い出せないことがある
考えているつもりが
途中の風景の些細な変化すら
気になることがある
すべては頭の中ですべては体の中で
外界は窓の外に見える
窓枠の中からしか覗けない別つの世界

朝の風景

見上げると電線に
街灯の灯りをバックにしたカラスのの群れが
身を縮めて並んでいる
寒い朝に夜明けを待つ同じ気持ちの黒づくめの男が
家を出た時

朝の風景

真っ暗な空には
星一つ見えずまたたくのは
遠く見える常夜灯だけ
話し声もしない無言の駅で
考え事をする何人かの人と
足下の印の上に
等間隔に並ぶ